7月2021/07/03

7月になりました。

金山橋の交差点ですが、暑さも厳しくなってき日傘の人も増えてきました。
建設中のビルから足場が完全に取れました。
4月の時点では足場と囲いにより中は見えませんでした。

濃い色のビルは9階建てのように見えますが、Comfort HOTELと書いてあります。
調べてみると10月に開業予定とのことです。

金山駅からmonte accordionまでの道案内ですが、
ビルの工事中に作製したので見た目が今と違っていますのでご注意ください。

バンドネオンの調律2021/07/03

バンドネオンの調律を承りました。
普段あまりバンドネオンの修理、調律は来ませんが今年に入って3件目です。
バンドネオンブームが起きているのか、コロナの影響か、ピアソラ生誕100年だから?
分かりませんが今年の傾向です。


お預かりしたバンドネオンは装飾が美しい標準的な仕様の物です。
何と言っても良い部分は音が出る事です。
楽器なので当たり前の事なのですが、今年修理をさせていただいた2件は
最初の状態で音がきちんと鳴りませんでしたので、
最初から音が鳴るというのは調律だけで済むという可能性があります。
先の2件は下記の物です。


音が出るので安心していましたが、中を見るとやはりそれなりに問題があります。
リードに貼ってある革製の短冊状の部品、リードバルブが経年劣化で
硬化と反りが出ています。
これは修正してもすぐに戻るレベルなので全数交換が必要です。
やはり調律だけで済むということはありませんでした。

何故かバンドネオンはこの状態で来る事が多いのですが、
バンドネオン奏者はこの事はあまり気にしないのでしょうか?
リードバルブに反りがあるとノイズが出たり、蛇腹の圧力で調律が大きく変化したり、
演奏上気になる問題が出ると思うのですが..


リードの方は錆もなさそうです。
リードプレートの方も錆は出ていません。


左手側のリードです。
こちらもリードバルブは盛大に反っています。


空気レバーに繋がるワイヤーが貫通する部分ですが、
革のパッキンの穴が大きなっていて空気それなりに漏れているので要交換です。


楽器のカバーを留めているネジは錆が出ているので研磨する事にします。
音に影響はありませんが、錆ていない方が良いに決まっていますので。


右手側のリードプレートを全て外しました。


リードプレートの見えていない裏側のリードバルブも反りが出ています。


古いリードバルブを全て剥がしました。


リードバルブを剥がした部分は接着剤が残るのでこれを除去する必要があります。
リードに錆が出ている所もありました。
数は少ないですが古い楽器の場合、全く無しという事は稀です。


上段はリードバルブを外しただけの状態です。
下段は接着剤を落とし、錆を除去したもの。


右手側のリード全ての作業が完了しました。
前回のバンドネオンのような苦労はありませんでした。
このあと、リードの調整、リードバルブの貼り付けを行い、調律へと進みます。


カバーの留めネジの錆を落としました。
今日はここまで。

バンドネオンの調律22021/07/04

バンドネオンの調律を承りました。
昨日から作業を開始しています。


右手側リードの調律前に行う作業は完了したので、作業は左手側へ移りますが
その前に空気バルブをチェックしました。
空気バルブの機構自体に問題はありませんでした。


バルブ面の掃除を行ったのでバルブの装飾がよく見えるようになりました。


左手側の機構を分解しました。
右手同様、リードバルブが激しく反っています。
こちらも全て交換します。


リードプレートを外しました。
右手側よりちょっと少ないです。


リードの裏側のバルブも反りが出ています。
補修の為に後で貼られたと思われる薄い樹脂の部品がありますが用をなしていません。
あまり分かっていない業者が行ったのか、過去の所有者によるものか?


古いバルブを全て外しました。


バルブを取ると少数ですがリードが錆びている箇所が見つかりました。
右手側と同様に接着剤の除去、錆の除去、リードの調整を行って行きます。

Maugein入荷2021/07/04

フランスMaugeinからアコーディオンが入荷しました。

3台入荷しました。
機種は全て同じで、49音、MM、80ベースのフレンチタイプのボタン式です。
ライトブルーメタリック2台と、今回初めて入荷のピンクメタリックです。


以前から入れているライトブルーと同じカラーです。
蛇腹はオフホワイトにモノクロな感じの柄が入っています。


蛇腹の柄はパリをイメージする建物や物などのイラストが入っています。


もう一台のライトブルーはカラフルな蛇腹です。


比較的大柄なカラフルな花柄になっています。


今回初めてのピンクのメタリックです。
あまり濃い色ではなく、色調もやや紫に寄ったシックなピンクになっています。


蛇腹の内側はオフホワイトの生地にバラが描かれています。


右手のボタンはミラータイプ。
グリルカバーはクロムメッキです。


ベースボタンもミラータイプでフレンチなのでキノコ型です。
ボタンは2列ベース、3列和音の5段ですが、dimの和音も出せるようになっています。

意外な修理へ2021/07/06

楽器店経由でフレンチタイプのボタン式アコーディオンの
調律を承りました。
正確には音に異常があるので修理したいという事でした。
その他、偶に何も押していないのに音が出たままになる症状も
あるという事です。


点検してみると、リードに貼り付けてある短冊状の薄い部品、
リードバルブに湾曲が出ている事が分かりました。
これはベース側のリードですが、リードバルブが内側に向かって
僅かに湾曲しているのが分かります。
とても僅かな湾曲ですが音に影響が出ます。
よく使われた楽器では外向きに反りが出る場合が多いですが、
内向きに曲がっても、外に反っても音に問題が出る繊細な部品です。
湾曲が出ている低音部の長いバルブは修正しても再び
反りがでて症状が戻るので今回は交換する事に。


右側のリードですが、こちらは外に反っているものが少数、
内側に曲がっている物が幾つもある状態です。
見えていないリードの裏面(木枠の内側)にも同じ数だけのバルブがあり、
かなりの数を修正、交換する必要があります。
リードバルブの状態が変わると調律が変わってしまいますし、
元よりこの楽器は調律にかなりの狂いが出ているので
全体の調律が必要と判断しました。


こちらも右手側リードで高音部です。
高音のリードには薄い樹脂製のリードバルブが使われています。
この部分にも反りが出ている箇所があります。

ところで、この楽器、フレンチタイプのボタン式の特徴の一つである
リードの留め方が一般的なアコーディオンと同じロウ留めです。
フレンチタイプのボタン式はリードを釘で留めている事で
特徴的な音を得ていますがこの楽器はロウ留めでした。
この事については後述します。


ベルトは表皮にヒビが多数あり交換時期ですね。


ベースの手を通すバンド(ベースストラップ)は内側が破れていて、
こちらも交換時期です。
ベースストラップは余程切れる事はありませんが経年で内側が損傷したり、
内部のスポンジが劣化したり、革が硬化していきます。
そのようになると操作性が悪くなったり、
不快感が出ますので適当な年数で交換する事をお勧めします。


リードバルブの修正を行い調律へと進む予定でしたが、
途中で予想外の問題を発見しました。
右手のボタン操作部の付け根のボディーにヒビが入っています。
この画像では少し力を加えてヒビを広げています。


楽器に触れていない状態ではヒビはあまり開いておらず、
独特なセルロイドの柄と相まってこの部分に損傷がある事に
気づきませんでした。
指摘がないので持ち主の方も気づいていないでしょう。
よく観察するとヒビの表面の角が擦れて丸くなっているので
割れてからある程度の期間が経過している感じです。
なので最近の事ではなく、輸送事故等でもないと判断できます。


ボタン部分の裏蓋を取って点検してみると内側の木の部分にも
割れがあり(赤矢印)、外側の割れも裏側まで回り込んでいる事が
分かりました。(黄矢印)
これは予想外の修理が必要となりました。
時々、音漏れが出るというのもこれが原因の可能性があります。


ボディーフレームの割れを修理する為にボタンの下にある板を外す
必要でました。
この板を外すにはボタンを全て外す必要があります。
という訳でボタンを全て外しました。


ボタン下の板を外すと詳細な観察ができ、
内部に手を入れられるようになります。


板の下の部分に別の割れを発見しました。
このような修理は面倒でもきちんと分解しないと詳細が分かってきません。
中途半端な修理では状況が変わらなかったり、再発を招きます。


アコーディオンは、ひと塊の丈夫そうな楽器に見えますが、
分解してみるとボタン(或いは鍵盤)の周囲のボディーはとても
細い事が分かります。
重さがある楽器なので取り扱いを丁寧にしないと思わぬ破損に繋がります。
鍵盤の楽器ではこの部分の張り出しが大きく、根元に力が掛かりやすいので
過去に何例か修理した事がありますが、ボタン式でこの事例は初めてです。


ボタンの下のパネルを外したので磨きます。
この部分は汚れが付きやすいですがボタンが並んでいるので
清掃がやりにくい箇所です。
外す事は滅多にないのでこの機会に磨いて綺麗にします。


清掃前の画像がないので比較ができませんが艶を取り戻しました。
それにしてもこのセルロイド柄は珍しいですね。
和風な感じにも見えます。


ドとファの部分に溝を付けて印としていますが、
汚れが入り込んでいるので外したついでに綺麗にします。


綺麗に洗浄できました。
超音波洗浄機が欲しくなりましたが無いので手動で..


修理中に新たな不具合を発見しました。
右手のボタン操作で開閉するバルブのバルブ材が剥がれています。
音漏れの原因はこれに確定です。
他のバルブもチェックしましたが取れているのはこれだけでした。
接着剤の劣化による剥がれの可能性がるので今後、
他の部分でも問題が出るかも知れませんが、今の時点では大丈夫なので
今回はこの部分だけ修理しました。


修理が完了したのでボタンを戻して行きます。
それなりに数があるので大変です。
ベースの方はもっとあるので更に大変ですが今回は右だけです。


割れていた所を修理し、ボタンを全て戻しました。
元々目立っていなかった事もあり、傷は存在を知っている人が
よく見ないと分からないレベルです。
柄のない黒い楽器の場合は傷が目立つので傷消しの作業が追加で
必要になる場合があります。

後は音に関する部分の修理と調律を行えば完了です。
音に異常があるというご依頼でしたが、他の不具合が見つかって
修理、調律が必要となりました。
よく歯医者に行くと痛くない歯まで治療する事になって..という話を
聞きますが、今回の場合は必要不可欠な修理なので仕方がありません。


さて、冒頭で少し触れたリードのロウ留めの話しです。
この楽器はフレンチタイプのボタン式の特徴を持った外観の物です。
具体的には、ボタンの直径が少し小さく間隔が狭い、音の切り替えが
楽器の裏面にある、ベースボタンがキノコ型等々..
そして、フレンチタイプの楽器として一番の特徴はリードが木枠に
釘で留めてある事でシャープで華やかな独特の音が出る事です。

この楽器は入門用という位置付けなのでしょうか、
リードは一般的な楽器と同じロウ留めです。
外観はフレンチでも出る音は一般的なアコーディオンと同様という事です。
上の画像は右手のリードですがロウで接着されているのが分かります。
釘も打ってありますが仮止め的な物で音への影響は無いでしょう。


こちらは先日届いたMaugeinの同じ音域を持つ良く似たサイズ、外観の
フレンチタイプアコーディオンのリードです。

リードは3~4本の釘でガッチリと木枠に留められています。
木枠とリードフレームの間には空気漏れしないように
薄いコルクのシートが挟んであります。
このようにする事でリードから発生する振動の殆どを減衰させずに
木枠に伝えて特徴的なフレンチの音を得ています。
ミュゼットやシャンソンをメインに演奏する場合、
釘留めリードの楽器の方がより雰囲気が出ます。


リードのグレードにも違いがあります。
リードには標準の物、ハンドメイドタイプ、ハンドメイドというように
グレードがあり、この順で価格とリードの硬さが増していきます。
標準の物は安いですが音が悪いという事ではありません。
グレードが上がる程に大音量でのリードの反応低下、ピッチの低下が
起きにくいようになっています。
なので大きな音を使いこなす事ができるプロの方はハンドメイドタイプや
ハンドメイドタイプが必須になってきます。

上の画像は今回修理した楽器ですがリードは標準です。
見分ける方法があります。
リードを留めているリベットの表面が平らであったり
網目状の痕が付いている物は標準品です。


こちらは先日入荷したMaugeinですが、
リベットの表面には5~6の面でできたハンマーの打ち痕があります。
そういう場合は、ハンドメイドタイプか、ハンドメイドのどちらかです。

同じように見えるフレンチタイプの楽器でもリードの留め方、
リードの違いがあります。
大抵の場合は楽器の価格で判断できますが、見えない部分だけに
楽器の購入時はきちんと確認する事をお勧めいたします。