日本製アコーディオンの修理2 ― 2021/07/27
日本製アコーディオンの修理を開始しました。
ベース側本体からリードを外したところです。
音色切り替えのスイッチが動かなくなっていますが、
内部ではシャッターが半分以上閉じた状態で固定していました。
これではまともな音は出ません。
機構部分を手で動かそうとしてみましたが簡単には動きません。
この様な状態の楽器はスイッチを無理やり押すと必ず壊れます。
スイッチが動かない時は無理せずに修理に出しましょう。
ベースリードの横に製造年月日の判がありました。
不鮮明で2桁目が読みにくいですが、48.10.7 でしょうか?
昭和48年10月7日という事なので、48年前の楽器です。
48年も経過していれば革のリードバルブがダメになって当然でしょう。
リードの木枠の下になる部分を分解しました。
ここにはスイッチ切り替えでスライドする、はしご状部品があります。
分解してみるとこの通り、アルミニウムの腐食がかなり進行しています。
アルミニウムと空気中の水分、木材中の有機酸など原因です。
腐食しているアルミニウムの部品を全て取り出しました。
腐食している部分は白い反応物が析出していますので
削り取って平らに仕上げます。
本体の木の表面に付いた物も取り除いて平らににます。
アルミニウム表面を研磨して平に仕上げました。
腐食した部分は凹んでいますが凸になっていなければ問題なく作動します。
元通りに組み立ててスイッチの作動を確認し、
スライドする部分がきちんと全開、全閉になるように調整しました。
これは蛇腹と本体の合わせ目のパッキンシールですが
革製で劣化していますので新しい物と交換します。
この楽器にはベースボタンの印がCの所にしかありません。
日本製に限らず、古い楽器にはCにしか印がないものがあります。
EとA♭に印が無いと使いにくいので印を付ける加工をします。
ベース機構を点検しましたがこの部分は全く問題なしです。
48年経過しているとはとても思えない良い状態です。
ベースの機構も本格的な方式になっているので
中国製の物とは操作した感じが全く違います。
中国製によくある方式ではボタンを押した感触に摩擦感があり
押し込んで行く程にバネが重くなって行きます。
ヨーロッパの楽器やこのヤマハのような方式は
ボタンの動きが滑らかで、押し込んで行ってもバネの圧の変化が少なく、
押し切るまで軽く操作できます。
また、中国製の方式では使う頻度が高いと摩擦で部品がすり減って
不具合が出てきますので耐久性も低いです。
中国製の良い点もあります。
機構が簡単にごっそり外せるのでメンテナンス性に優れています。
一般的な方式では分解する時に部品を一つずつ外して行く必要があります。
それでも操作性と耐久に優れるのでこの方式を採用する楽器が殆どです。
ベース機構の違いも今回、中国製に買い替えるより直す方が良いと
判断する理由です。
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