ネットオークション2021/08/21

ネットオークションで購入した楽器が届いたらベースボタンが落ちていた、
という事で修理を承りました。

ところが、届いた楽器のベースボタンは何も問題なく普通に使える状態でした。
恐らく輸送の衝撃でベースボタンが落ちて、当店に届くまでの輸送の衝撃で
ベースボタンが直ったのでしょう。
楽器を宅配で輸送する場合、姿勢がとても重要です。

折角送っていただいたので楽器の点検をしました。


楽器を弾いてみると右手の音が極端に弱いところが何箇所もあり、
調律も大きくずれている感じでした。
楽器はそんなに古くないのに..と思って中を見てみました。
右手側のリードですがリードバルブはそれなりに反りが出ていますが
綺麗な状態です。 (と、思った)


リードをよく見てみるとリード表面に白い綿のような物が付いています。
殆ど全てのリードにあります。
この白い物の正体はカビです。
金属にカビ?と思いますが、金属表面に付いた汚れなどに発生したものと思われます。
カビの為、リードバルブの開きが悪くなっていたり、リードの振動に問題が出ています。


蛇腹の内側にもカビが出ています。
アコーディオンの内部にカビがあると演奏時に胞子が飛散します。
中を点検する前に散々、鳴らしてテストしましたので胞子を吸い込んだかも知れません。
修理品をテストする時は先に中を見る事にした方が良さそうです。
このような楽器は健康被害が出る事もありますし、修理にはとても費用が掛かります。

オークションなどで現状渡しの場合、こんな事もあるでしょう。
これは稀な事ではなくて修理で来る楽器でも時々見ます。
この状態でも音は全て鳴るので、オークションサイトでは音出し確認済みとなります。
楽器は音が出るだけでは使える物とは限りません。


楽器表面にも細かい粉が多数付いていましたが、カビの胞子にしては大きい感じです。


これの原因は一緒に付属しているソフトケースの内側が劣化して出てきた粉でした。
これも吸い込みたくはありませんね。


これは楽器の裏面にある胸当てですが、ボタン式の物が付いていました。
これはオークションとは無関係で、単に取り替えた業者がテキトウなのか
知識がないのか、あり合せで済ませたのか..というところでしょう。


ちなみに、鍵盤用の胸当てを付けた場合はこんな感じになります。

楽器の状況と修理した場合の見積りを送り、判断を待ちました。
今回は返品できる事になったらしいので直接、返送する事になりました。
通常、ネットオークションでは返品不可ですが、状態があまりにも酷いので
了承されたのかも知れません。
今回、ベースボタンが落ちて修理に出したのでカビに気付きましたが、
もしベースボタンに異常がなければ購入者は普通に使って行ったでしょう。
初心者の方はアコーディオンの音の異常や調律の狂いに気付く事ができないので
音が出て使える物と思い、喜んで演奏してカビの胞子を
長く吸い続ける事になったかもしれません。

アコーディオンはオークションで買うような性質の物ではありません。
色々なリスクがあります。
時間とお金を無駄にします。
場合によっては健康も損ないます。

長い間、調律や修理に出していない楽器もカビがあるかもしれません。
あなたの楽器、大丈夫ですか?
当店では点検、見積りは無料です。
調律時には内外の清掃も行います。