古い楽器の再生42010/03/20

前の記事からの続きです。
ベースのバルブを取り外し、古いフェルトと皮を新品に交換しました。

この写真はバルブの表面ですが、一番上の白い物が古いバルブ(皮)です。
下の茶色いのは交換した皮です。
古い皮にはリードへ通じる穴の形がクッキリと残っています。
この部分は段付きになってしまっています。
穴の周囲の部分は常にバネの力で押されているので、
潰れて固くなっています。酷い場合には、ベースボタンを離した際に
パタパタと音が出ます。皮やフェルトが縮むと右手の場合は鍵盤が
深くなり高さが不揃いになりますが、ベースの場合はバルブが下がり
隙間ができる為、ボタンを押した時のリフト量が減ります。
リフト量が減ると音が弱くなったり、ボタン操作に対する音のレスポンス
が悪化します。
また、ボタンのガタツキが増えてボタンを触るとカチャカチャとノイズが出ます。
右手と同様、バルブの劣化が進むと空気漏れを起こします。


バルブの皮とフェルトを全て新品に交換し、再度組み付けますが、
この時、やはりバネ圧を均一に調整します。
また、バルブの当たりが変わるので、バルブを調整し、空気漏れが
できるだけ少なくなる様にします。


バルブを交換したら、ベースメカニックを元に戻して行きますが、
単に元通りに戻すだけでは全く不十分です。
バルブの皮とフェルトを交換した事で、バルブの高さが変化しているので、
それに合わせて各部の微調整をしながらボタンを一つずつ戻して行きます。
この作業もかなり時間と神経を使います。
120個もある訳ですから..
この作業をいい加減にやると、ベースボタンのガタツキが多くなり、
表面を手で触るとカチャカチャとノイズが出ます。
また、ボタンの押しが有効になる位置が不揃いになったり、
バルブのリフト量が減る事になります。