コンチネンタルの謎2011/02/05

EXCELSIOR Continental というアコーディオンの名器があります。
そのコンチネンタルの調律を承りました。
同時に、ベースのスイッチの改造も行う事になりました。

これがコンチネンタルのベースリードです。
通常の楽器は大体4列か5列リードですが、コンチネンタルには6列の
ベースリードが内蔵されています。
ベースの音色切り替えスイッチは全部で8つあります。
銀色の小さい物が7つと、黒くて長いマスタースイッチが1つです。


ベースリードを外したところです。
1オクターブ分の12音の穴の並びが6列あるのが分かります。
下から3列分の小さい穴はコードボタンを押した時にしか開きません。
ベースボタンを押した時は全ての穴が開口します。
スイッチ操作により列の選択をし、不要な部分はバルブが開いても鳴らない様に
アルミニウムのスライドするフタが閉まります。



まず、この楽器の6列あるリードの音域を調べました。
すると驚いた事に、C4のオクターブが2セットある事がわかりました。(図中 黄と緑)
この同じオクターブのリード列は片方はコード専用の穴の方にセットされていました。
一般的な楽器はこのC4列のリードが1つだけですので、全部で5列です。
一部、音域が重なっているのは5列の楽器でも同じです。
という訳で、6列あるコンチネンタルも、音域自体は普通の楽器と変わらないという事です。
私は通常より、より高音か低音のリードが入っているものと勝手に想像していました。


これが同じ音程のリード2列です。
同じ音程なのでリードの長さも同じ。
不思議な事に同じ長さのリードですが、サブタのバネは片方にしか付いていません。



次にスイッチの切り替えでどの音程のリードが鳴っているかを確認しました。
その結果が上の図です。各色は、前に表示した表と対応しています。
これを見てまた驚きました。
マスター以外のスイッチでは、上から3つ目までは1列の音のみ、上から4番目以降は
2列のリードしか鳴らさないというセッティングです。
つまり、マスタースイッチ以外では、この6列リードがある楽器の1列ないし2列しか
鳴らさないという奇妙な(ある意味贅沢な)セッティングでした。
持ち主様の使えるスイッチが無いというのが分かる気がします。

同じオクターブのリードがわざわざ用意してあるこの楽器ですが、面白い事に、
そのリードが登場するのはマスターの時だけという事も分かりました。(図中 緑)
12音、余分に付いたそのリードは、マスタースイッチの時しか鳴らないという事です。

という訳で、図の一番下にある[6’]の組み合わせを6番目のスイッチに
割り当てる改造を行う事に決定しました。
もう一つ、どれかを犠牲にして低い方から4列分鳴らすスイッチがあっても
良いかも知れませんが、取り敢えず、今回は1箇所改造という事になりました。

コンチネンタルは長く作られているモデルですので、全てのモデルがこの様な仕様に
なっているか分かりませんが、同じオクターブリードが2列ある事や、それがマスターでしか
使われていない事、スイッチで選択できるのはマスター以外、1列か2列同時のみという
EXCELSIOR Continental の仕様は、とても興味深い謎です。