不具合2つ2011/10/04

ひとつ出ない音があるという事で修理を承りました。
大抵、そういう時は小さなゴミがリードに挟まっています。
稀に、リードが折れている時もありますが。
という事で、不良箇所の音が出ない事を確認した後、
何回か蛇腹を強めに動かしてみましたが、復帰しませんでした。

楽器を開けて、該当するリードを動かしたりしましたが、やはり復帰せず。
取り付けの裏面になる方のリードなので目視する為に外すと..
ありました。小さなゴミが引っ掛かっています。
見た感じ、木か皮の小片の様です。
新品の楽器は製造過程で出る、木片などがリードに挟まりやすいので、
こういったトラブルがよく出ます。
この楽器は新品ではありませんが、新しい楽器を購入した時は小トラブルが出るものですので、
きちんと対応でき、素早い反応ができる専門店で購入する事が重要です。
それにしても、内側へのロウのはみ出しが大きいですね..
もうちょっとでリードに接触しそうです。

もう少し引いた写真ですが、ロウのはみ出しがよく分かります。

反対の木枠の方はこんな感じです。
ロウがかなり内側に入り込んでいます。
製造時になったものか、高温の環境に曝されたのかは不明です。

不良箇所が直ったので、全体のチェックを行ってみると意外なトラブルが見つかりました。
ある鍵盤を押して、蛇腹を強めに操作すると別の音が混ざるという症状です。
グリルカバーを外し、バルブを確認した写真がこれですが、右側のバルブに注目です。

鍵盤を押して写真の左のバルブが開くと、右のバルブが僅かに浮くのが分かります。
黄色い矢印のところです。
グリルカバーを外して見える範囲では異常がどうして起きているのか分かりませんでした。
注意深く鍵盤を操作すると、何か引っ掛かりを感じる事は確認できました。

仕方ないので鍵盤を楽器から取り外す事に..
これが該当の鍵盤のバルブです。
チャンバーのある楽器なので、一つの鍵盤に2つのバルブが付いています。
鍵盤を押していない時はこんな感じで異常なしです。


これは鍵盤を押したところ。
押した鍵盤のバルブの下端が隣の鍵盤のバルブの先端に接触している事が分かりました。
接触したバルブが僅かに持ち上げられて空気が漏れていたのです。
チャンバーの方のバルブなので簡単に目視できず、今まで見過ごされていたのでしょう。
この楽器はバルブの固定がロウではなくてゴムに軸が通してあるタイプなので、
何かの拍子にズレたのかも知れませんし、製造時からこういう風だったのかも知れません。

1つ音が出ないという単純な修理依頼から、他の不具合が見つかることもあります。
ちょっとした修理も専門店で行うという事に意味があります。