コピー元発見。2012/07/06

先日、昔購入したイタリア製のアコーディオンをもう一度使いたいという事で
修理を承ったという記事を書きました。
http://accordion.asablo.jp/blog/2012/07/04/6567281


この楽器の修理に取り掛かりましたが、中を見ていてある事に気付きました。

この楽器のベースメカニックは簡単に全てが取り出せるタイプです。
バルブなどのメンテナンスが楽な一方、メカニック機構自体のメンテナンスが
少しやりにくい点があったり、機械的摩擦が多くボタンの操作感が多少、
ざらついた感じになるというデメリットがあります。
金属フレームがあるので、重さも少し重くなると思います。
最近のイタリア製では殆ど見なくなりましたが、低価格な中国製や
古いドイツ製の低価格な機種に見られる事があります。


それで、発見したというのは、この楽器の各部の部品や作りの特徴が、
日本でも売られている中国製の低価格な楽器とそっくりであるという事です。
日本ではタスカーニというブランドで売られていますが、
ヨーロッパではゴールデンカップというブランドで売られているものです。
上の写真のベースメカニックのユニットを固定しているレバーは類似部分の一つです。
レバーの形状がとても似ています。
左右にあるこのレバーを外すとユニットは簡単にごっそり全部取り出せます。


ベースリードが付いている木枠のブロックの中間にある
金属製のステーですが、これも特徴的なパーツです。
他のイタリア製では見ませんが、この部分も中国製の楽器に
同じ様な部分が見られます。
比較の写真がありませんので、分かりにくいとは思いますが..


リードブロックを楽器に固定しているロック金具です。
大半のイタリア製は平らな金属の板ですが、この楽器は周囲が折り曲げてあります。
この作りも中国製の楽器で採用されています。


右手のスイッチのユニットを留めているネジです。
指で回せる様なギザギザの付いた頭の大きなネジですが、
一般的にはドライバーを使って回すネジで留めています。
この部分もそっくりです。


細かい部分ですが、蛇腹と本体を繋ぐピンの頭の形状も、
このイタリア製の古いScandalliと中国製の低価格楽器とそっくりです。
大半のイタリア製はもうちょっとエッジが緩い曲線の物です。
こうして見ると、この古いScandalliのモデルの要所を
かなり細かくコピーして設計されていると思います。
イタリア製の楽器をコピーして中国で作成する事自体は別に
何の問題もありませんし、その方が早く良い製品が作れる様になるでしょう。
特許になっている様な部分は別ですが。
日本でも車やバイクなど欧米のコピーから今に至ると思います。
それよりも私が不思議に思うのは、この古いScandalli自体、イタリアの製品としては
かなり他と違った部品や機構でできているので、どうしてこれをコピー元に
したのか?という事です。
もっと、スタンダードなイタリア製を手本にしたらよかったのに..と思います。


まあ、そんな事はどうでもよい事なので深くも考えませんが..
今は、このイタリア製の古い楽器の再生に集中します。
まずは蛇腹のシールの交換から。