古いEXCELSIOR ― 2022/03/09
50年程度以前に製造されたEXCELSIORの修理を承りました。アコーディオン仲間から頂いた物という事です。EXCELSIORは古くから日本に輸入代理店があるので、近年はこのような古い楽器の修理依頼が多いメーカーです。
使っていた物と思いますので修理と言っても大きな不具合はなく、音が出て演奏ができる状態です。ですが、きちんとした音は出ていませんし、音色切り替えスイッチの動作が悪かったり、鍵盤の操作に問題が出ています。特徴的なデザインのアコーディオンなのできちんと直して良い状態で使えると面白そうです。
右手側のリードです。革製のリードバルブに反りが出ています。恐らく最初から付いている物で、硬化しているので全数交換します。
リードバルブを剥がすとリードの錆が発見されました。幸い、錆が出ている箇所はとても多くありません。
リードを留めているロウに劣化がありヒビが出ています。古い楽器では何れこの事が問題になってきます。この楽器はまだ何とか補修で延命できそうです。古い楽器を購入する場合はそのまま長く使って行けない事と、その後の修理費が多く掛かる事を想定していなければなりません。
ベース側のリードですが、リードバルブの反りが盛大です。ベース側も全て交換が必要な状態です。
リードの錆があるのは右手側と同様です。
ロウ留めの劣化があるのも右手側と同様です。ロウが劣化した場合はリードを木枠から取り外し、古いロウを全て除去した後に新しいロウで木枠に取り付ける作業が必要になります。この場合、その後の全体調律は必須になります。製造から40年以降の楽器で必要が生じてきます。60年経っていれば交換が必須の場合が殆どです。
ベースの手を通すバンド(ベースストラップ)です。恐らく、最初から一度も交換されていないオリジナルの物です。これは切れる事は殆どないので交換せずに長く使っている場合も多いですが、手の甲が痛くなったり、見栄えが悪くなるので10年に1回は交換した方が良いでしょう。1年に換算すれば費用はとても僅かです。
ベースストラップを交換する為にベースの底板を外します。留めネジは錆が出ています。古い楽器なのでネジの頭はマイナスですね。まだプラスネジが無かった頃です。
ベースの底板を外しました。埃がかなりあります。
掃除するとこんな感じです。長く使っている楽器では埃が溜まっていますので定期的な調律を行って内部の掃除を行うと良いでしょう。当店では調律費用の中に内外のクリーニングを含んでいます。
ベースメカニックにも埃が溜まっています。
新しいベースストラップを用意しました。(手前の物)
色は黒になりますが新品は厚みがあってフカフカです。白や他の色に交換する事もできますが、幅や色の種類が多く、在庫すると劣化するので黒以外はイタリアから取り寄せになります。
ベースの底板を留めるネジですが、錆を落としました。手間なので新品の同等品と交換すれば済みますが、できるだけオリジナルを残しておきたいですし、頭がプラス溝に変わると見た目も変わってしまうのでオリジナルを活かします。
今日はここまで。
作業はまだ長く掛かります。
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