古いEXCELSIORの修理2022/03/19

古いEXCELSIORの修理を行っています。



鍵盤に関わる不具合が多くあるので、まずは鍵盤を全て抜き取りました。
意外と埃は多くありませんがそれなりにあります。
そして、フェルトの部品が2つ転がっていました。
鍵盤のバルブ付近に落ちていた物と同じものです。



落ちていたフェルトの部品は黒鍵の下に付いているストッパーです。
黒鍵の数、15個ある筈ですが出てきたのは3つだけでした。
虫食いの痕はないので接着剤の劣化により取れたのでしょう。



黒鍵のストッパーが無い場合に黒鍵を押したところです。
黒鍵の下にあるアルミニウムの部品が本体の木に当たったり、
黒鍵の端の下の所が本体の木の部分に当たりカツカツと音が出ます。
また本来より多く黒鍵が沈みます。



外れた部品を付けた場合はこんな感じになります。
フェルトを介して黒鍵が停止するので音は静かになり鍵盤の沈む量も適正になります。



全ての黒鍵を点検すると幾つかの黒鍵の下には革を小さく切った物が
が2、3枚貼り付けてありました。
やはり素人修理が入っている楽器です。
本来なら外れた物と同じような部品を付けるべきですし、
革では衝撃吸収が少なく、厚さも足りていません。
全ての黒鍵に対して行っていないのも謎です。
それにしても素人修理とは言え、鍵盤を外さないとできない作業です。
そこまでするのに修理は中途半端という感じです。



白鍵盤にはフェルトのストッパーが付いていませんが、
鍵盤の端が当たる部分の本体側にフェルトが貼ってあります。
このフェルトは虫食いで傷んでいるので交換が必要です。
ここは見える位置なので見た目も悪くなっています。



鍵盤の下の部分の掃除をしました。
スッキリ!!



鍵盤のバルブですがリード側から見て白く見えていた部分は
革が剥がれてしまったのではなくて白い布が貼ってありました。
こんな布で空気を止められる訳はありません。
空気漏れの原因の大部分はこれですね。
やっぱり謎修理が多い楽器です。



布が貼ってあったバルブを表から見たところですが、
バルブと鍵盤からのアームをロウで留めています。
一旦外してロウで接着しなおしたようですが、
古いロウが残っていますし、ロウも綺麗に流れていません。



こちらは白鍵で黒鍵側の列にバルブがある箇所です。
鍵盤の軸の位置が変わる関係でバルブのリフト量が僅かになります。
鍵盤を押してもこれだけしか上がらないのでフェルトを入れる余裕がありません。
なので革を数枚重ねたものを貼っていますが、
フェルトが無い分、経年による革の硬化で閉じる音がとても大きくなります。



フェルトのある方(左)とフェルトのない方(右)のバルブを並べてみると
厚さがかなり違うことが分ります。



今回、布が貼ってあるバルブと、フェルトが無いバルブ2つの3つのバルブを直します。



鍵盤からバルブを外し、貼ってある革、布を剥がしました。
フェルトが無い革だけのバルブは、バルブリフト量が少ないので
少しでも空気の抵抗を減らすために真ん中がくり貫いてあります。



新しい革を準備しました。



黒鍵の端に貼ってある革の補修部品を外しました。



黒鍵の下に貼るフェルトと、革のバルブ材を作成しました。
一番左のバルブ材は元々付いていた物です。