Accordina マイナーチェンジ2023/06/30

フランス Marcel Dreux からアコーディナが届きました。
在庫品として注文していた物です。


金属製の模様切り抜き外装、横向きのマウスピース、白黒ボタンという、
Marcel Dreuxの最も標準的なモデルです。
これは表面が艶消しの仕様ですが、ピカピカに磨いた物もできます。
その他、外側が木でできた物や、金属でも穴の空いていない物など
多数のモデルがあります。


今回届いた楽器は今までと少し違う部分があります。
まずは外観ですが、ボタンの下の部分の造形が以前と違います。
以前はボタン式アコーディオンのような階段状でしたが、
新しい物は高さの違う筒状になっています。
少し有機的なデザインになった感じがします。
私は以前の方が好みですが、実際に殆ど見えない部分なので
特に問題はないでしょう。
操作感などは何も変わりません。


一番変わった部分はこれです。
以前はリードの固定は溶けたロウで接着していました。
鍵盤式のアコーディオンと同じような方法です。
新しい物はネジで留めてあります。
紫色のアルマイト処理された軽量なネジでガッチリ留まっています。
リードの根本部分だけ隙間を埋める為でしょうか、
特殊な接着剤のような物でシールされています。

リードがネジ留めの構造は、一番最初に考案されたアコーディナ(Borel)と
同じ方法です。
フレンチタイプのボタン式アコーディオンもロウを使わずに
釘やネジでリードを固定してあり、独特の音を作っていますが、
今回の固定方法の変更で音質が少し変わったかも知れません。
私にはハッキリと感知できませんが、2種類を交互に比較したら
分かるかも知れません。


もう一つ、外観の変更があります。
楽器裏側の樹脂製パネルにMarcel Dreuxのm.dマークが付きました。
以上が変更点です。
ご来店いただければ実際の楽器を見たり、試す事ができます。


コンサーティーナの調律2023/06/30

コンサーティーナの調律を承りました。


30ボタンの一般的な仕様のコンサーティーナです。
見た目がかなり古そうですが、きちんとした物のようです。


右手側を開けましたが、内部はとても綺麗で外観とかなり違う印象です。
リードは、いわゆるアコーディオンリードです。
ダイアトニックアコーディオンに使われる物と思いますが、
古いコンサーティーナに付いている、対になっていなくて、
リードの金属片がネジで固定されているような専用品と区別して、
アコーディオンリードと呼んでいるようです。
(コンサーティーナ界の事は詳しくありませんので..)

きちんと調整した場合、リードの反応の良さは
アコーディオンリードの方が良いので、私はこちらの方が良いと思いますが、
やっぱりコンサーティーナの方は専用品が良い物という判断でしょうか?


リードバルブは多少の反りがありますが、大きな問題はありません。
リードの隙間は調整が不十分なので、発音が悪い箇所があります。
全て修正してから調律を行います。


内側のリードですが、リードバルブの端が本体の枠から出ていて
挟まっています。


リードを外すとリードバルブの端が潰れていました。
その事は問題ではありませんが、挟まっている部分があると
開く部分が減るので発音に影響します。
位置を調整してリードを固定し直します。


ボタンの操作で開閉するバルブに隙間があります。
空気漏れの原因になっていますので、バルブの位置を修正します。


左手側を開けました。
こちらもリードバルブの反りは少なく、良い状態です。
右手側と同様にリードの調整を行います。


リードの内側面になる方はリードバルブの反りが多いです。
恐らく、保管時の姿勢で下面になる為でしょう。
反りは全て修正します。


リードを外すと表裏でリードバルブの反り具合が違っている事が分かります。


こちら側も、本体に挟まっているリードバルブが幾つかあります。
斜めになってリードに接触している物もあります。
全て修正します。


コンサーティーナはダイアトニック方式なので、蛇腹の開閉の向きで音程が変わります。
なので、1対のリードの表裏では音程の違うリードが付いています。
音程が違うのでリードの長さが違ってきますが、一部のリードバルブは
表裏で同じ長さの物が付いていました。
リードの長さより極端に長い場合、発音に影響しますので適切な長さにカットします。
リード周辺の修理、調整を全て終えたら全体の調律を行います。


で、調律完了しました。
書いたら一瞬ですが..


革製のストラップが傷んでいるので新しい物を作成しました。


ストラップを交換して、全ての作業が完了しました。
後は楽器をお返しするだけです。