リフレッシュ完了2010/12/14

古いアコーディオンの整備を承っていました。
http://accordion.asablo.jp/blog/2010/10/29/5578413


途中、短期の修理が入ったりしましたので少し時間がかかりましたが、やっと完了しました。
これがその楽器です。

最初に鍵盤を取り外した際に、埃の玉を発見しました。
少し前にも同様の事例をブログでも書きました。
http://accordion.asablo.jp/blog/2010/11/13/5596898

今回の物は、直径10ミリ程度の球形で、前のフットボール型よりも小振りですが、
密度は高そうです。やっぱり色は灰色ですね。色々混ざるとこの色に落ち着くのでしょう。

サブタ皮は反っており、硬化も進んでいたので全数交換しました。
これはベース側の一番小さいリードと付いていたサブタ皮ですが、
裏側の皮の色と表の皮(上にある剥がした物)と色が違っており、
同一の皮では無い事がわかります。
このリード以外の木枠に付いた通常の物は全て裏表共に同じ材質の皮でした。

何故、裏が違うロットのサブタ皮なのか?
これはベース側のリードを外した所ですが、一番小さいリードは本体直付けのタイプで、
リードは一つずつロウを破壊して外す必要があり、通常の様に木枠ごと外れません。
こういう構造だと裏側のサブタ皮を交換するのはちょっと面倒な作業になります。
この楽器は相当な年月が経っているので、この小さいベースリードの裏に付いている
茶色い皮がオリジナルで、その他全てのリードに付いている皮は過去に交換した物の
可能性があります。作業が面倒なこの小リードは裏側の皮の交換を省略したのでしょう。
結局、今回はどの皮も寿命で全て交換する事になりました。

これが今回の作業で交換した消耗品全てです。
左から、蛇腹のシール、鍵盤のバルブ、ベースのバルブ、右側のサブタ皮、ベースのサブタ皮です。一番前にあるのは左手ストラップ。背負いベルトも新しくしました。
こうやって並べてしまうと、ああ、これを全部変えるという事ね..と思うだけですが、
実際の作業は交換した後に一つずつ調整しながら組み立てる大変な作業となります。
これはある程度の年月を過ぎた楽器には必ず必要になる作業です。
古い楽器でこの作業をやらなくても音は鳴るでしょう。
しかし、本来の楽器の性能は出ませんし、操作性も悪くなります。
ここまでの完全なメンテナンスをしてある中古楽器はまずありません。
理由は、手間や時間がかかるという事と、誰にでもできる訳ではないという事です。
調律がしてあって鳴るというだけで古い楽器を選ぶ事にはリスクがあります。

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