鍵盤にあらず2012/08/28

鍵盤に不具合があるという楽器の修理を承りました。

パッと見には何も異常が無いように見えます。
10~15年程度の楽器でしょうか。


鍵盤の異常はこれです。
深さが10mm近くあります。


低音の鍵盤は10mmの深さがありますが、高音に行くのにしたがい
深さは正常なレベルになって行きます。
鍵盤の上から下まで、無段階に深さが変化している状態です。


鍵盤の異常はこれでした。
ボディーの割れです。
鍵盤の異常ですが、原因は鍵盤にあらず。
正確には鍵盤の深さが深くなったのではなく、鍵盤の下の部分のボディーが
ズレて、見かけ上鍵盤が深くなったという事です。


ボディーの割れは内側にも達していました。
幸い、ここは空気漏れには無関係な位置です。
この部分はアコーディオンのボディーで一番弱い所です。
ソフトケースに入れて背中に背負った状態で、狭い出入り口などを通過するときに
鍵盤のあるボディーの角をドアやドアの枠にぶつけると、この部分が割れます。


一部、鍵盤が下がらない箇所があったので、鍵盤を全て外しました。
埃が結構たまっています。


ボディーの割れを修理しました。
殆ど傷は見えません。
単に接着しただけではここまでにはなりませんし、単なる接着では強度も出ないので
工夫して強度が出る様にしています。


鍵盤の深さは正常になりました。
鍵盤の高さが少し不ぞろいなのはバルブのフェルトが縮んだからでしょう。
ボディーの割れとは別問題です。


鍵盤は直りましたが、楽器内部は少し問題があります。
製造から年月が経っていますので、サブタ皮が反っています。
そんなに古い楽器ではありませんが、この種の不具合は短期間でも起きます。
調律も兼ねて定期的に点検を行うと良い状態を保てます。