整備済み2013/01/26

ベースボタンの動きが悪いとの事で修理を承りました。
整備済みアコーディオンという事で店から購入した物らしいです。

ベースメカニックの点検から始めました。
ご覧の通り、透明なオレンジ色のベースボタンをした珍しい楽器です。
ちなみに、黒鍵も同じような色です。(黒鍵とは呼べない?)
鍵盤は現在では殆ど見られない超細幅の物で、
この楽器も製造から40年は経過していると思われます。


ベースボタンの周囲には埃が堆積しています。
分量から見て、中古で購入後の物ではなく、もっと以前からの物でしょう。
整備済み中古の筈ですが..


作動不良のボタンはコードではなく、ベースの方なので、
上から4段目まで取り外さないと修理できません。
不具合の原因は、埃の堆積、部品の磨耗、グリスの劣化でした。


蛇腹にちょっとカビが出ていました。
これは購入後に付いたのか、以前からあったのか判断できませんね。
清掃、除去しておきました。

リードの部分を見ると、サブタ皮は大変綺麗で反りもありません。
どうみてもこれは新品に取り替えられています。
調律も大きくズレていませんので、販売前にリードバルブの交換と調律は
行われたと思います。
これは専門の業者にしかできない事です。
つまり、整備済み中古として専門店で販売されたという事です。


しかし、鍵盤のバルブはフェルト、皮共にオリジナルです。
楽器の年数から考えてこれは交換時期です。
この部分が古いと、鍵盤を離した時のノイズが大きくなり、鍵盤の深さが深くなり、
高さがバラバラになったり、最悪の場合空気漏れが増えます。
ベース側のバルブも同に劣化しているので交換時期ですが、
ベースメカニックも含めて未整備でした。

整備済み中古という売り文句は、基準が曖昧です。
この楽器はリード周りと調律は完全ですが、
鍵盤のバルブやベースメカニックなどは未整備でした。
そこまでやれば完全ですが、楽器の価格は高くなります。
中古を求める方は低価格である事が殆どの理由ですので、高価では売れません。
なので、不完全な整備で安く販売するのでしょう。
ですが、40年以上経過した楽器は交換が必要な部分が多くあります。
そのままでも使えますが状態は良くなく、近いうちに不具合が出る場合もあり、
安く購入しても後で出費という事もあります。
何よりも、不完全な楽器を使う事は出費よりも失う物が多いでしょう。
安い中国製の新品の方が良い位です。

安い物はそれなりです。
アコーディオンも同じです。
古い楽器をきちんと再生するには多くの時間と手間がかかるので、
安くは出来ないのです。
専門店で売っている「整備済み」も、100%では無い場合もあるという事です。

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