胸当て ― 2015/06/14
修理でお預かりする楽器でよくある事例です。

これは、アコーディオンの裏面です。
胸の上に当たる部分ですが、ここに柔らかくて薄いパットが付いている楽器があります。
胸当てなどと呼んでいますが、座布団なんて言う人もいます。
本当に座布団の様な物を付けている人が偶にいますが、
楽器が安定しないのでお勧めしません。
上の写真はその部分ですが、ちょっと弛みがあります。
これは古くなって中のスポンジが劣化している為です。
古い物はスポンジが粉々になって一部に偏って溜まっている場合もあります。

取り外して新しい物と重ねてみました。
下が新しい物で、上が付いていた物です。
厚さが全然違います。

厚さを測ってみました。
古い物は約1ミリです。
クッション性は無くなっていて、ただのナイロンの布という感じです。

新しい物は約9ミリです。
押すと弾力がありクッション性があります。

机の端に掛かる様に置いてみると、古い物は垂れ下がりますが、
新しい物は自重で折れ曲がる事はありません。
楽器の当たりを柔らかくしたり、固定を良くしたり、汗を吸う役割がありますが、
古くなるとどれも役を果たしません。
交換は短時間で可能ですので、ヘタリが出てきたら交換をお勧めします。
元々、胸当てが付いていない楽器に取り付ける事も可能です。
中古不具合の修理 ― 2015/06/14
中古で購入したというアコーディオンの修理を承りました。

楽器は20~30年程度以前のCavagnolo のボタン式で、
オークションではなくて専門店で購入したということです。
症状は特定の音色切り替えスイッチのポジションで演奏した場合、
突然、ボタンを離しても音が出たままになるという事です。
症状が常に出ない事とちょっとした事で復帰する為、原因の特定が難しそうです。

この楽器はMMMLですが、凝った機構が付いています。
スイッチ切り替えで機械的にボタンのリンクを接続し、
Lリードの1オクターブ下を同時に鳴らすというものです。
HMLの様な事をMLの楽器で実現するという面白い発想ですが、
付いていないリードより低い音は出ないので、最低音から1オクターブ分は
この機構は働きません。
問題はこの機構を作動している時に起きているので
この機構に関わる部分に不具合がある事が推測できます。
上の写真の様に複雑なリンクが右手側のボタンに付いていて、
まるでベースメカニックの様な複雑さです。
写真の中央の部品はネジが落ちてリンクが外れています。
これは別の不具合を生んでいたので今回同時に直しました。
問題の原因は分かりましたが全てバラして直すには時間と費用が掛かるので、
今回は部分的な分解で修理する事にしました。
一応、修理できましたが再発した場合は全てバラすしか無さそうです。

問題のある箇所とは違いますが、リードの押さえのバネの形状が変です。
自然にはなりませんので製造時からか、販売店での調整方法でしょうか?
中古楽器も良く吟味して選ばないと後が面倒ですね..
オークションや個人売買では尚更です。
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