緊急事態宣言22021/01/15


令和3年1月14日に愛知県も緊急事態宣言が出されました。

政府が発表している「緊急事態宣言でお願いする対策の考え方」によれば、
 「今回の緊急事態宣言は、社会経済活動を幅広く止めるのではなく、
 感染リスクの高い場面に絞って、効果的・重点的な対策を徹底します。」
という事ですので、昨年の様な営業休止は行わず、従来通りの感染症対策を
行いながら営業を続ける事といたします。
教室についても対面レッスンとオンラインレッスンを並行して行きます。

入店の規定は継続して行いますのでご来店の皆様にはご協力お願い致します。

空気漏れの修理2021/01/16

ボタン式アコーディオンの空気漏れがあるという事で修理をさせていただきました。
空気漏れは、何もボタンや鍵盤を押していない状態で空気が出入りしてしまい、
蛇腹が動かせるような状態を言います。
アコーディオン(蛇腹楽器)にとって、大きな問題となる不具合ですが、
新品の時からある場合もありますので、必ずチェックが必要な項目です。
コンサーティーナやバンドネオンの方が酷い場合がよくあります。


今回は空気ボタンに問題があるということで、ご依頼いただいた方が自身で
修理をしてみたが改善できなかったということです。
空気ボタンがボタンの穴に対して垂直ではない事が原因と思われたらしく、
ボタンを曲げて修正する事を行ったらしいですが直らず、こちらへ来ました。
実際にベースの蓋を開けてみるとそんなにボタンに問題は無さそうです。
修理は原因の特定がとても重要です。
原因を特定しなければ無駄な時間と労力を費やすことになります。


空気ボタンを押して開閉するバルブを点検してみました。
これが空気ボタンのバルブです。
これは閉じた状態。


これは空気ボタンを押してバルブが開いた状態ですが、気になる事を発見。
バルブの側面がベースボタンを支えている土台の脚の部品と接触気味です。
矢印の部分です。


この楽器はフレンチタイプのボタン式なので楽器の幅が狭いです。
ベースの空間も狭く、ベースメカニックで幅いっぱいです。
空気ボタンのある部分はボディのカーブの中でとても手が入らない状態です。
この修理の為にベースメカニックを全て取り出すのは時間もコストも掛かるので
できればやりたくありません。
仕方がないのでバンドの調整ダイヤルの部品を外して
なんとか隙間から修理しました。


修理後です。
少しだけバルブをずらしました。
もう少し大きくずらしたかったのですが、今度は反対側が接触しそうなので
最低限、必要な分だけにしました。
これで空気ボタンの不具合による空気漏れの心配はなくなりましたが、
それよりも別の空気漏れが気になりました。

空気漏れはどこかが改善すると次に弱い場所が目立ってきて
際限なく問題が続くことがあります。
特に古い楽器では完全にする為には費用が掛かり過ぎる事が殆どです。
この楽器は新しいので作成時の問題でしょう。


今回の空気漏れの症状は、蛇腹を開く時は問題なく、蛇腹を閉じる時に大きく漏れます。
この症状は2つの事で問題が大きい事を意味します。

一つは演奏上の問題です。
空気漏れがあると、アクセントが弱くなったり、空気を早く使い切ってしまったり、
演奏上、問題になってきます。
蛇腹の押し引きで漏れ方が違う場合、同じフレーズを同じ音量で弾いても
蛇腹の動く量が押し引きで変わるので困ることになります。

もう一つは修理する上での問題です。
蛇腹の押しで漏れる場合、原因はボタンの操作で開閉するバルブにあります。
これは右手のボタンや鍵盤の数だけあり、それぞれから少しずつ漏れて
合計すると多くの漏れになります。
上の画像は右手のボタンのバルブです。
フレンチボタンなのでバルブが3列になっています。
チャンバーのある楽器では鍵盤やボタンの数の倍のバルブがありますし、
ベース側にも24個のバルブがあります。
これらの全ての漏れの原因を特定して修理する事は大変な時間と労力が必要で、
修理費用も高額になります。
大抵の場合、バルブ1箇所の問題ではなく、右手側だけとか、ベース側だけとか、
或いは両方という事もあります。

今回の場合、調べてみると右手のボタンのバネ圧が全体に弱い事が分かりました。
また、漏れがあるのは右手側が殆どという事も分かりました。
なので取り敢えず、バネ圧の調整を行いました。
これはボタン式の場合、比較的簡単な修理で費用も小さいです。

修理を実施して多少の改善はしましたが、完璧ではありません。
やはり、完全に直すには右のボタンを全て外し、全てのバルブの調整を
して行くしかありません。
今回は取り敢えずこのままお返しする事になりました。

1月24日2021/01/24

今日は1月24日です。

先日、ブログに書いたフランスのカレンダーで見ると、
S.Fr.de Sales と書いてありますが、聖人の名前でしょうか?

フランスでは特に祝日とか記念日という訳ではありません。
日本でも特に何もない日です。


さて、当店に貼ってある自分で毎年作っているA4で1年分見られるカレンダーですが、
こちらには表示を入れています。
1月24日は2009年にmonte accordionが開業した日です。

今年で開業から12年という事ですね..
2019年の4月には10周年の記念コンサートをさせていただきましたが、
1年あとだったらコロナで中止になっていたと思うとゾッとします。


毎年、開業記念日にプレゼントをくれる方がいます。
その方は誕生日が1月25日。
だからお互いに忘れないのです。
そして、物々交換になってしまいます..


アコーディナ整備2021/01/26

販売する為のアコーディナの整備をしています。

Accordina(アコーディナ)はフランスの2社の製品を取り扱っていますが、
どちらの楽器も販売前に分解して整備、調律を行っています。
ご覧の通り、多くのリードを外していますが、最終的には半数以上の
リードを取り外して調整する事になります。
これはこの個体に限った事ではなく、全ての場合でこのようになります。
ここまでしないと良い感じにならないのです。
内部の清掃、リードの調整、全体の調律、外装の手直し、洗浄消毒と
行ってやっとお客様へお渡しする事ができます。


鍵盤の修理2021/01/27

楽器店経由で高級アコーディオンの修理を承りました。
主な症状は鍵盤の高さの不揃いと鍵盤の作動不良です。


指摘箇所は矢印のある鍵盤です。
高さが少し高くなっていて弾きづらいということです。
確かに他より1ミリ程度高くなっています。
恐らく、楽器を上げ下ろしする時や、ケースへの出し入れのときに
指やベルトの一部で持ち上げてしまったのでしょう。
でも良く見ると全体に鍵盤の高さが高い感じがします。
大体、7~8ミリ程度の高さがあります。


楽器を上から離れて見ると鍵盤の高さが低音から高音に向かって
段々と高くなっていることに気付きました。
これは指摘されていませんので使っている方は気付いていないと思います。


鍵盤の低音付近ですが、高さが5~6ミリ程度で、これは正常な値です。
高音側に向かって通常より高くなっているということですね。
鍵盤がこのようになる場合、大きな問題がある場合が多いです。


点検してみると鍵盤の高音側のフレームというかボディーそのものが
割れている事が分かりました。
割れているというより木の色が変わっている境目が剥がれている感じなので
接着部分が破壊したのか剥がれたのか?というところです。

この部分が割れて鍵盤に問題が出る事例は時々見られます。
アコーディオンのボディーの中でも細くて弱い部分なりますので。
この部分が割れると鍵盤の数だけ付いているバネにボディーが押されて
ボディーが鍵盤と反対向きに押されて歪む事で鍵盤が全体に高くなります。
つまり、鍵盤が高くなったのではなくて、下のボディーが下がったということです。
片側が割れた時は今回のように傾斜が付きますが、
両側が割れると全体が高くなります。

一般的にこの部分はもっと厚くできており、接着だけでなく、ネジ留めや
金具の補強がしてあります。
この楽器は軽量をアピールポイントの一つとしていますが構造的に弱さを感じます。
一般的な重さより軽い楽器では強度を犠牲にしている部分がありますので
使う時には気をつける必要があります。


こちらは低音側の割れていない方の同じ場所です。
木の色が変わっている境目に隙間はありません。
ですが、とても薄いですし、ネジも金具も無い構造です。


こちらは当店にある別のメーカーの同じような仕様の楽器です。
(41鍵盤、HMML、ダブルチャンバー、木目)
ただし、こちらにはマスターパームスイッチがあります。

鍵盤の幅と横のボディーの厚みの比率を比較してみれば構造の違いが分かります。
こちらもネジや金具の補強はありませんが、かなり厚い部材です。
因みに、この楽器の重さ(実測値)は11.6kgでした。(カタログ値は11.5kg)
同じ条件で修理の楽器を測定すると11.2kgでした。(カタログ値は10.8kg)
400gの差をどう考えるか?ですね。
強度などを取るか、少しでも軽い事を重視するか..
マスタースイッチの分を考えると本体部分の重さの差はスマホ1台分程度です。

カタログ値との乖離はどのメーカーにもありますが、
その程度でメーカーの誠実さが測り知れます。
今回の値は私が過去に計測して知る範囲では特異な事例ではありません。
メーカーは天然素材によるバラつきという事で責任回避をしていますが、
いつも実際より軽めに表記するメーカーがあるということです。
カタログやメーカーサイトの表示を信じてはいけません。
また、そういうメーカー発表値で話をしてくる営業も信用してはいけません。
皆さんも一度、自分の楽器を測ってみてカタログと比べてみてください。
当店では必ず、実測での表示をしています。


さて、この楽器には別の問題もありました。
鍵盤を操作すると異音と変な手応えがあるというものです。(計2箇所)
原因は鍵盤を押すと持ち上がって開くバルブの横が隣の鍵盤のバルブへの
アームと接触していることでした。
例のボディーの割れによる歪みが原因かと思いましたが
ボディーを修理しても症状が残ってしまいました。
恐らく、最初からあった不具合ではないかと思います。
指摘の不具合とボディーの割れは全て修理してお客様へお返しし、
後に何も問題はないという連絡を頂きました。