コンサーティーナ修理2021/12/17

コンサーティーナの日帰り修理を行いました。
楽器は関東の楽器店で購入した新品という事ですが、
ご実家がこちらなので店までお持ちいただけました。
症状はボタンの戻りが悪く、鳴ったままになる状態が頻発するというものです。
点検してみると、症状はすぐに確認できました。
その他、発音が悪い箇所が幾つかある事と、調律の狂いがあるなど、
コンサーティーナの新品によくある症状が確認できました。


まずは演奏ですぐに問題となるボタンの戻り不良を直す事にしました。
ネジを6本抜いて右手側の分解をすると原因はすぐに分かりました。
余談ですが、コンサーティーナの蓋を留めているネジ6~8本は
簡単に外して、簡単に留められるものではありません。
少なくとも私はとても気を遣って作業しています。
詳細は省きますが問題が出ると修正が簡単にできない箇所なので
不要にユーザーでの分解を推奨しません。
確かに工具で回せば緩むし、締められるので「簡単」という方もいると思いますが
それは注意すべき事項、必要な操作、問題が出た事例を知らない故なのでしょう。
過去にこの部分のトラブルで修理した事例は複数あり、
楽器生命に係る大ごとになりますので分解はお勧めしません。
持って来ていただく、送っていただく等、ご負担をおかけしますが
ちょっとした事でも、何度でも診させていただきますのでお気軽にご相談ください。

赤い矢印のボタンが戻らない箇所です。
青い矢印のボタンに接続するアームのバルブと反対側の端の先が
戻らないボタンの下にある黒いゴムの部品と干渉している事が分かりました。(黄矢印)
干渉しているアームは扁平なアルミニウム製なので横方向の力で簡単に曲がります。
少し曲げるだけで干渉はなくなり症状もなくなりました。
先の余った部分がこんなに長くなければ問題も起きにくいと思います。
長く余らせている意味もないので切っても良いでしょう。
この部分の横方向の強度が不足しているのでボタンを横方向に
強く押すなどすると同じような問題が起きる不安がある設計です。


今回は日帰り修理で取り敢えず使えるようにという事なのでボタンの修理で
ほぼ完了ですが、左手側の発音でどうしても気になる部分があったので
併せて修理を行いました。

この楽器はアコーディオンリードをロウ留めした廉価なものです。
発音が悪いのは蛇腹を開く時の音なのでリードの内側になります。
ロウ留めされているリードを剥がしてみるとリードの先端が大きく曲がっていました。
これだけ曲がっていれば発音に問題が出るはずです。
リードがこんなに曲がるのは間違いなく人の手によるものですが、
意図して行う筈はなく、調律や調整の作業で知らずに曲げたのでしょう。
これが製造時の事か、販売前の調整によるものかは不明ですが、
国内でここまで大胆にリードに力を入れるような事をする販売店もないと思いますので
製造時からの異常と思います。
目立つ症状なので出荷前か、国内で販売する前に気づいて修正できる筈です。
先日も記事にしましたが、100%イタリアを謳うメーカーですが、
今回も発音の不良や調律の狂いがあります。
まるで使えない程ではないので今回は大きな問題だけ修理して終わりました。


納屋橋まんじゅう2021/12/17

名古屋の有名な菓子の「納屋橋まんじゅう」が1月10日で
生産を中止というニュースを見てビックリ。
名古屋近辺で知らない人は居ないというほど(多分)有名なものです。


という訳で、金山駅構内の売店で買ってきました。
本店は駆け込み需要で凄い人みたいですが案外、売店なら買えるみたいです。


納屋橋まんじゅうは、いわゆる酒まんじゅうの部類ですが、
一般的な酒饅頭と大きく違うのは皮部分です。
一般的なものは厚みがあり空気を含んだスポンジのようなものが多いと思いますが、
納屋橋まんじゅうは少し薄くて表面に少し艶があり、ペタペタした感じ?
子供の頃の記憶よりやや普通の皮になったような感じがありますが、
やはり独特の食感と風味で知っている人ならすぐに見分けられます。
説明が難しいですが神戸の南京町にある行列する豚饅で有名な
老祥記の皮を薄くした感じでしょうか?


100年も続いたのに終わってしまうというのはどういう事なのでしょうか。
理由は工場の老朽化という事なので更新する費用ができないのでしょう。
知名度はとてもありますし、最も重要な味の部分も素晴らしいのに残念です。
そう思っているのに、では買って食べた?と言われればそんなに頻度はないので
結局、誰かが買わなければ商売は成り立たないという事なのでしょうか..
最後になって慌てて買っても後の祭ですね。
購入できるのは1月10日までです。

ベースレジスターの修理2021/12/18

ベースの音色切り替えスイッチ(ベースレジスター)が動かなくなり
ベースの音にも異常があるということで修理を承りました。
かなり以前に当店で調律を行った楽器ですが、
最近は使わない時期が長くあったということです。


ベースのスイッチが動かない状態とベース音の異常はすぐに確認ができました。
スイッチは高さがバラバラな位置で止まったままです。
中を確認するとレジスターの機構に異常がある事がすぐにわかりました。
本来、垂直になっている筈の部品が斜めに曲がっています。(矢印部分)
この事自体が動かない原因ではなく、動かないのに無理にスイッチを押すと
このように部品が曲がります。
レジスターが動かない場合、無理に押すと問題が悪化する事もあります。
動かない原因は別にある筈なので分解を進めます。


大抵の場合、スイッチが動かない時はスライドするアルミニウムのシャッター部品が
酸化して固着している事が多いですが、分解してみるとその部分は異常なしでした。
レジスター機構を全てバラしてみるとスイッチからの前後の運動が
回転運動に変換されて機構に伝わる部分の回転部分が固着していることが判りました。
5個あるスイッチの4箇所はスイッチが押せず、回転部分を回そうとしても回りません。

このタイプの不具合も時々みることがあります。
何故かイタリアのあるメーカーの物に出る事が多いので、
私は勝手に〇〇〇〇〇(メーカー名)現象と呼んでいます。
頻度は多くないです。
この楽器は違うメーカーですが、他のメーカーでも起きる事はあります。


回転しない部分をなんとか修理して曲がった部分を戻し、外れてなくなっている部分の
樹脂製チューブを付けました。
スイッチを押すときちんと回転するのでこのまま組み戻せば修理完了です。


回転部分が戻るとスイッチはバネで元の位置に戻ることができるので
面イチになりました。
音に異常があったのはスライドするシャッターが中途半端な位置で
止まっていた事が原因なのでレジスターが直れば音も問題なくなります。

この異常は長くスイッチ操作をしていないと起きることがあります。
今回は暫く楽器を使っていなかったという事なのでそれが原因と思います。
普段楽器を使っている方でもベースレジスターを殆ど操作しない方や
特定のスイッチしか押さないという方もいます。
操作しないと固着する事があるので必要がなくても時々、
スイッチを押して動かしてあげると固着の心配が減ります。


もう一つ、修理する箇所があります。
ベースの底部分の脚が割れて取れている部分です。
今回は部品が残っているので簡単です。
また、接着修理もされていないので尚良いです。
楽器の部品が割れた場合、できるだけ割れた部品を残しておいてください。
また、自分で接着修理しないでください。
アコーディオンの部品は同じ物が手に入らないことがありますし、
新しくすると色が合わずに目立ってしまうことがあるのでオリジナルの
破片がある場合は取っておいてください。
接着修理をすると元の位置に正確に合わせる事ができなくなり、
修理痕が目立ってしまったり、接着強度が出なくなるので
何もしないで持ってきていただけると助かります。


脚の修理でベースの底板を外すと開口部の網が剥がれかけていたので
張り直すことにしました。
この部分が剥がれるとベースメカニックに干渉して問題になります。
演奏中に剥がれると突然ベース音が出たままになったり、変な和音が出たりしますので
予防措置は重要です。


蛇腹の内側にカビがありました。
健康被害が出ますので除去します。
長く使わないでケースにしまっておくと内部にカビが出たり、リードが錆びたりします。
リードの錆は楽器としての問題が大きく、修理費用も大きくなります。
アコーディオンは使う事が最大のメンテナンスです。
使えない期間が長い時はシリカゲルをケースに入れて乾燥状態を保つようにします。


最後にもう一つ、
ベースリードの一箇所でリードバルブが剥がれてなくなっていましたので修理しました。
剥がれた物を探しましたが内部には残っていませんでした。

取り敢えずこれで問題なく使えるようになりますが、
前回の調律からかなり経過しているので機会をみて調律を行うと
気持ちよく演奏することができます。
今回のように故障がなくても定期的な調律を行う事で内部の問題や
カビなどに気付く事ができます。

イブ2021/12/24

今日はクリスマスイブ。
1年があっという間に過ぎて行きます。


店内の飾りも明日まで。
小さなパネットーネは当店で講師をしていただいている
アンジェロさんに頂きました。


今日は一日経理の入力などで終わり。
年末の風物詩。


自宅での食後に頂いたパネットーネをいただきました。
イタリアではクリスマス前から休みに入り、パネットーネを食べて
年末~新年の休みを過ごすということです。
クリスマスケーキ兼、お餅みたいなものでしょうか?


中にはドライフルーツが沢山入っています。
ドライフルーツが無い物もあって、それはパンドーロと言います。
パンドーロも年末年始の食べ物という事です。
使われる酵母がパネットーネ種というもので、とても日持ちがするので
商店が休みになる年末年始に向いているのかも知れません。
実際、このパネットーネや以前に食べたパンドーロなど、
袋に入っていても完全に密閉されていません。
保存料など使っておらず、袋の口は針金で巻いて留めているだけで、
乾燥剤や脱酸素剤も入っていません。
その状態で出荷され、イタリアから日本に空輸され、
切り分けながらのんびり食べて3、4日経ってもカビが出ません。
不思議です。


2021最終日2021/12/26


クリスマスも終わり店の飾りを外しました。
また来年..


先日お預かりしたバンドネオンのリード周りの調整が完了しました。
後は調律を行えば本調子になる筈です。



調律の前にもうひと仕事。
固着して分解が大変だったパッキンシールを張り替えます。


右は剥がしたパッキンシールで左は新しい物です。
厚さが全然違います。
変形して気密を得るので薄くなるのは普通のことですが
今回は表面に粘着物が出ていたので交換が必須でした。


少し早いですが今年の営業はこれで最終です。
今年も1年、多くの方にご来店いただき誠にありがとうございました。
まだコロナの行方が気がかりですが来年も変わらずに
営業させていただく予定です。