BeBe Medusa 42022/07/13

低価格なボタン式アコーディオン、BeBe Medusaの調律を行いました。
調律前に状態を測定し、Goldencupの輸入直後の状態と
ほぼ同じである事を確認して調律を完了しました。

MMの波の速さは少し速めの感じでしたが、幅広いジャンルに対応できるように
中間的な速さへ落としました。
スイッチがない楽器ではMとMMの切り替えができないので、
あまり極端な波を付けると使いづらいためです。



調律を完了し、最終的なチェックの段階で新たな問題が見つかりました。
リードの調整を行い弱い音での発音が可能になったことで
空気漏れによる発音が出るようになりました。
蛇腹に空気を入れ、何もボタンを押さない状態で
蛇腹を強く閉じることを行うと弱く音が出ます。
この試験方法は楽器の空気漏れを確認する為に有効です。
これを行うと楽器が壊れると言う話を聞くことがありますが
どんなに強く行っても楽器は壊れませんし傷むこともありません。
何度もこのテストを行って空気漏れの位置を特定し、
空気漏れの原因は右手のバルブにあることが分かりました。



バルブの位置がずれていて下にある穴の一部がバルブの外に出ています。



リードが付いている内側から見たところですが、バルブのズレにより
塞ぎきれていない部分から光が漏れていることが分ります。
僅かな隙間ですがボタンを押さなくても空気が漏れているので
演奏中に空気をロスしますし、大きな音で演奏すると音が混ざる事もあります。
リードを調整して弱い音の発音が出るようになった事で
問題が表に出ましたが、以前の状態でも空気を消費していた事に
かわりはありません。



バルブを調整して完全に穴を塞ぐようにしました。
空気漏れの問題はなくなりました。



これで全ての調整が完了しました。
手前にあるのは取り外して交換した不良部品です。



最後にベルトの調整をしました。
この楽器のベルト(ナイロン製)は万人に使えるようにとても長くなっています。
異様に長くて始末が悪いので不要部分を切断し末端を解けないように処置しました。

全体の調律を行ったことで音がとてもクリアになりました。
発音の悪い部分も改善したので弱い音も出やすくなりました。
当店で販売する楽器は中古も中国製も高級機も、全てこの状態でお渡しします。
このBebe Medusaはできるだけ安く提供し、アコーディオンを広く普及させる事を
最大の目的としており、実際、500台以上の受注が取れ、目的を遂行しています。
その分、調律や細かい部分の調整はできていないので、
より良い音で気持ちよく演奏したい方は調律を行う事をお勧めいたします。
勿論、費用は掛かりますがそれだけの対価は十分にあると思います。

この楽器を手にする方は初めての方が多いと思いますので比較基準がありません。
アコーディオンの音がこの程度か..と思って止めてしまったら勿体無いです。
低価格で始め易いという事はある意味、止める時の抵抗も低いと思います。
折角手にしたアコーディオンですので、きちんとした音を知って
更に演奏が楽しくなれば..と思います。


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