修理しない楽器2023/01/31

空気漏れがある楽器の修理をしたいという事で、楽器を送っていただき点検を行いました。


届いた楽器は、ドイツ Weltmeister の小さな鍵盤式です。
空気漏れをチェックすると異常な量の空気漏れが起きていました。


内部の点検も行いました。
リードの周囲に茶色い汚れが付いています。
錆のようにも見えますが錆ではなさそうです。


茶色の汚れはリードバルブの裏面にも付いていて、
リードバルブが張り付いているところもあります。
今は空気漏れが多くて発音の状態がハッキリと分かりませんが
この感じでは発音にもかなりの問題があると思います。
これを修理するのはかなり大変な事になるでしょう。


ベースリードですが、リードバルブの反りや変形が多いです。


空気漏れの症状があるので蛇腹の点検を行いましたが
蛇腹のフレームの中央付近に反りがあります。
平らな物を当てると隙間ができている事が分かります。
小さな楽器なので蛇腹も長くないのですが、何故か変形があります。
ただ、これは空気漏れの原因ではなさそうです。


空気漏れの原因はこれです。
蛇腹の角の部分で谷になっている所には薄い革が張ってありますが、
この楽器では合成皮革を使っている為、経年で劣化して生地の部分だけが残っています。
合成皮革はポリウレタンという樹脂ですが経年で劣化する欠点があります。
生地の部分は目の粗いガーゼのような感じなので空気が簡単に通ります。
上の画像でも網目状の生地の隙間から光が漏れている事が分かります。
こうなった場合、蛇腹の修理は現実的ではなく、新品の蛇腹に交換する事になります。

実は、この楽器を見た時から原因は大体分かっていました。
一時期のWeltmeisterの小型機種ではこの現象がある事を知っていましたので。
KAWAIブランドで販売されていた同じ物でも同様の事が起きます。
一部の中国製の楽器でも同じ状態になっている物があります。
合成皮革の蛇腹を使うのは低価格な楽器なので、蛇腹を交換すると
掛かる費用と楽器の価値が合わなくなり、修理しないという判断になる事が殆どです。
今回も修理は行わない事になりました。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
迷惑書込み対策です。
下欄に楽器の名前をカタカナ(全角)で入力下さい。
当店は何の専門店でしょうか?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://accordion.asablo.jp/blog/2023/01/31/9589770/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。