両鍵盤2の修復22015/08/22

左手側も鍵盤になっているアコーディオンの修復を行なっています。
前回は右手側の修復を記事にしました。




さて、修復作業の続きですが..
これはアコーディオンですが、右手側ではありません。
通常、ベースボタンが並んでいる所が鍵盤になっています。
よく見ると右下には空気ボタンがあり、
その下には左手を通すストラップが見えます。



左手の鍵盤部分はキートップが剥がれかけています。
また、高さのバラツキや上下方向に無駄な遊びがありますので、
鍵盤を外して修理と調整を行なう必要があります。
鍵盤の手前にある部分のセルロイドが剥がれて浮いていて
一部が破損していますのでこれも修理します。



左手を通すバンドを外して裏をめくったところです。
内側に貼ってあるフェルトは少し虫食いになっています。
内側にも小さなストラップが付いている左手鍵盤用の特殊形状ですので
これはこのまま使います。
取り付けている金具の裏面は銅合金なので錆びて緑色になっています。



鍵盤手前の部品を外しました。
浮いたセルロイドを貼り付け、破損した箇所は範囲が狭いので、
今回は塗装で修復します。



ベースメカニックです。
通常のアコーディオンとは全然違います。
今回はバルブを交換しないので調整のみです。



鍵盤を全部外しました。
ひとつずつ組付けながら調整をしていきます。
剥がれたキートップも修理します。



という訳で、左手鍵盤部の修復完了です。
高さも揃って、深さや上方向の遊びも調整しました。
鍵盤手前の円弧状の部分も綺麗になりました。



左手の操作部が直ったので今度は中身です。
この楽器の左手側には本体直付けのリードがあります。
リードの裏側のリードバルブを交換するためには本体から剥がすしかありません。
手前の二つを剥がしてみましたが、やはり内側のリードバルブも反りがあり、
古くなり硬化しています。
粉状の埃も堆積しているのでリードは全て剥がして修復する必要があります。



直付けのリードを剥がしました。
接着の為のロウは古くなって脆くなっています。



古いロウを取り去って清掃しました。
リードの内側の木枠の所に、裏側から貫通しているネジの先が
出ている箇所があります。
内側の部品を留めている物と思います。
リードやリードバルブと干渉する可能性があるので取り去ります。
こうして修復しながら元々ある問題も取り除いて行きます。



左手のリードも全て修復しました。
今回はロウ接着の補強のみで交換はしませんでした。
ロウが弱ってきているのでいずれ全て剥がして交換する必要が出ると思います。
古い楽器は常にこの問題があります。
一旦リードを剥がしてロウ留めを新しく行なえば30年は問題なく使えるでしょう。



これで左手側も修復を完了しました。
あとは調律ですね。
今回は、右側、左側の修復を一つの記事にまとめていますが、
ここまでにかなりの時間を使っています。



コメント

_ tachinon ― 2016/01/29 23:45

毎回、たのしく読ませていただいています。

 このメカニズム、以前にも書き込みましたが、リードオルガンの「オクターブカプラー」・・・・これを使うとオクターブ上(下)の鍵盤を押さなくても、その音が出せる・・・・とそっくりで、その写真を見つけましたので、再度書き込ませていただきました。
この写真です。↓
http://fuukin.exblog.jp/iv/detail/index.asp?s=18481092&i=201207/27/34/e0197734_17351030.jpg

 この写真は、「リードオルガン修理の広場」というサイト⇒http://fuukin.exblog.jp/ の「リードオルガン修理講習会  (2)」⇒http://fuukin.exblog.jp/18481092/ という記事の中にありました。

_ Cookie(店主) ― 2016/01/30 19:41

tachinon様、こんにちは。
ブログへのコメントありがとうございます。
いつもご覧いただいているとの事で、誠にありがとうございます。

教えていただいたサイトを見てみました。
確かに両鍵盤アコーディオンの左手部と機構が似ています。
私はオルガンは全く知りませんが、このアコーディオンも
オクターブが同時に鳴るようになっており、切り替えスイッチで
一部オクターブのON/OFFができるようになっています。
鍵盤幅とリードの並び幅が違う事や、鍵盤からリードまでの位置が違う事から、
このように軸を使ってバルブへ動きを伝える機構が必要なのでしょう。
また何か面白い情報があれば教えてください。

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