蛇腹ロックの修理 他2012/08/07

少し前に、変わったデザインの楽器の修理依頼が来ましたという事を書きました。
http://accordion.asablo.jp/blog/2012/07/28/6587497

この楽器の修理を実際に開始しました。

二枚貝の様な開口部ですが、思ったほど開きません。
調整が可能かと思いましたが調整はできませんでした。
やれば更に開く方法があると思いますが改造になりますので取り敢えずこのままで。


この楽器特有の機構の蛇腹ロックですが部品はバラバラで、破断している物もあります。
楽器の中や蛇腹の中を探して部品を集めましたが、全部あるかもわかりません。
また、完成図や手本が無いので最悪の場合はこのシステムは外して通常の
ベルトによる蛇腹留めを付ける事も考えました。


蛇腹ロック機構はリードの上にシャフトが通っているので、
ズレた部品が回転する事でリードのロウの部分に損傷が少しあります。
木枠の凹んだ部分にシャフトが通ります。


かき集めた部品の破断した部分を修理し、部品を色々と組み合わせて
元がどうなっていたのか考えて試行錯誤を繰り返し、なんとか元の状態に
戻す事ができました。
幸い、部品は全て揃っていました。 と、いう事もここまで来て判る事です。

ベース側に音色切り替えスイッチが一つありますが、これも少し変わったタイプです。
押す度に状態が交互に変わるというものでスイッチは1つです。
通常のアコーディオンは2個のスイッチで同様の切り替えをします。

この機構が曲者で、中途半端に押し込むと中立状態となり、
リードの開閉も中途半端な位置で停止しておかしな音が出ます。
一旦、中立状態になると、スイッチを押しても状態が変わらなくなります。
1個スイッチで交互に切り替わるタイプの欠点です。
仮に作動に問題が無くても現在の状態が音を出すまで分からないという欠点もあります。
良いところはスイッチが一つなので位置を気にせずに切り替えができる事です。
作動に問題が出易いので現在は殆ど使われていません。

この楽器も中立になったまま切り替わりができていませんでした。
また、中立状態を解除しても少しスイッチの押し方が弱いとすぐに中立となるので、
できるだけ中立状態になりにくくする様に調整をしました。


ベース側だけではなくて右手のスイッチにも問題がありました。
写真の様に、シャッターが中途半端な位置で止まっています。
全開、全閉になる様にしないといけませんが、調整だけでは直せませんでした。


という訳で、スイッチを分解する事に。
普通の楽器と違って丸型のおしゃれなスイッチですが、分解する時は
スイッチを外さないとパネルが取れない構造でした。
ネジを外して一つずつ取り外す必要があります。


スイッチの下にダストカバーの役目をする革がありましたが、劣化してボロボロです。


スイッチの部品ですが、一部に変形が見られました。
この為にスイッチ機構が正常に作動していないという事です。
恐らく、複数のスイッチを同時に強く押した為でしょう。
アコーディオンのスイッチは2個同時に押してはいけません。
多分、それは皆さん分かっていると思いますが、大抵はソフトケースにいれて
運搬するときに外力により意図せずに複数同時押しをしているのだと思います。
運搬時は気をつけましょう。

こういうアイテムもあります。
http://accordion.asablo.jp/blog/2012/04/24/6499504
http://accordion.asablo.jp/blog/2012/03/03/6447768

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