古い楽器の修理2014/08/24

40~50年程度経過したアコーディオンの修理を承りました。



日本でポピュラーなEXCELSIORです。
アコーディオンは殆どの場合、製造年月日が書かれていませんので、
外観や部品の形状などを見て大体の年数を判断します。
この楽器の場合、スイッチの形状、メーカーロゴの形状、
全体の傷み具合で40~50年程度と思います。



内部のリードですが、貼り付けられているリードバルブは
この頃のイタリア製としては珍しく樹脂製です。
皮製の物より長持ちする場合もありますが、
逆に短期間で反りが大きくなる場合もあります。
以前の樹脂製は製造ロットやメーカーでバラツキが大きかったという事ですが、
最近の樹脂製の物は安定していると思います。
この楽器の場合は少し反りが出ていて、そろそろ交換時期というところです。



蛇腹と本体の合わせ目のシールは交換時期にきています。



あまり使っていなかったらしく、ベースのバンドは内側がとても綺麗です。
ですが、経年で硬くなっている為、交換する方が気持ちよく使えます。
硬化したバンドで演奏すると手の甲が痛くなりますので。



今回の修理の一番の目的はベースボタンの不具合です。
戻りが悪い箇所があり、全体に操作が重くなっています。
ベースの底板を外しましたが埃の進入も少なく見た目は問題なさそうです。
やはり、あまり使われていなかったのでしょう。
よく使われた楽器は空気が出入りする為、内部に埃が沢山入っています。



ベースボタンの隙間から見える交差する金属部品は
メッキの錆が出ていて艶がありません。
恐らく、これが原因と思います。



ベースボタンを全て外しました。
長い丸棒状態の部品の表面にはメッキがしてありますが、
錆びて灰色の艶消し状態になっています。
ボタンの操作に伴い回転する部品ですが隣り合う部品と接触していますので、
表面の錆が摩擦係数を上げて操作が重くなっています。




バルブから伸びる金属も同じように錆びています。
バルブ近辺は空気の出入りが近いので
部品表面にそれなりに埃が堆積しています。



ベースメカニックを分解しているところです。
結局、内部の部品が錆びていますので、更に分解して
一つずつ磨くしかなさそうです。

この状態で油脂類をスプレーするなどして修理する人もいるかも知れません。
その方法では一時的に良くなるかも知れませんが、
すぐに動きは悪くなり、かえって事態を悪化させます。
この手の修理で短期間ですぐに修理完了するような場合や、
修理費用が安い場合は要注意です。
古いアコーディオンの修理で、早い、安いは、お得ではありません。
オークションの中古楽器でも同じ方法で一時的に問題を消している事も
可能性としては考えておく必要があるでしょう。


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