鍵盤部の修復2012/05/01

60年前のアコーディオンの修復を開始しました。
前回の記事は下記です。
http://accordion.asablo.jp/blog/2012/04/29/6509795

前回までに、鍵盤を全て外し、鍵盤の下の部分になる本体側の修理を行いました。


前回も書きましたが、黒鍵の下に貼られているスペーサーです。
鍵盤の深さを調整するために後で付けられた物です。
こうしてみると、皮が2枚、フェルト、発泡ポリエチレンと、4層も貼ってあります。


元々、無かった部分なので全部取り外しました。
これらが無くてもきちんと適正な鍵盤深さになる様に修復します。


外した鍵盤からバルブ部分を外しました。
手前にあるのは接着で使われているロウの残骸です。
でも、まだ、バルブや鍵盤の先に残っているロウを綺麗に落とす作業が残っています。
数があるのでかなりの時間を要します。


木製のバルブから古いフェルトと皮をはがし、バルブ本体のロウや接着剤を
綺麗に取り除いたところです。
この後、新しいフェルトと皮を貼り、鍵盤を元通りに楽器へ組み付けて行きます。
文章で書くとそれだけですが、実際の作業にはとても時間がかかります。

コメント

_ SilverAge ― 2012/07/16 07:41

キーストロークを座部のパッド厚さで変えようというのは、残骸を見ても何か可笑しさを感じますね。そんなこと言うと怒られるかもしれませんが。
大きく変えようとすると、バルブの接着をする前に荒調整することになるのでしょうね。
このアコの場合、バルブボディは色から見て硬い木のようですね、ここに柔らかい木を使っているものもあるようですが、堅木は重い、高価だけど精度はいいというところでしょうか。
普段見えないところを見させていただくのも貴重な経験です。ありがとうございます。
キーストロークは、各メーカーの標準があって、あとはユーザーの希望で変更することになるのでしょうけれども、これの新造当時のストロークがどれくらいだったのでしょう、大幅に変えるとどんな問題があるのでしょう。これまた興味があります。

_ Cookie(店主) ― 2012/07/16 23:06

SilverAge様、こんにちは。
コメントの書き込み、ありがとうございます。

鍵盤の深さを調整する場合に何かを挟んだりする事はありません。
普通は金属のアームの部分を曲げます。
大きく動かす時とありますが、基本的に大きく動かす事はありません。
今回の場合は、土台の方が動いていて相対的に鍵盤が深くなったという事で、稀なケースですね。
当然、鍵盤の深さを調整するのではなく、ボディー側を修正します。
普通に使っていて大きく深さが変わる事は無いので、大きな距離を調整する事も無いという訳です。
鍵盤の深さは、メーカーによって少しずつ特徴があるようです。
また、同じメーカーでも低価格な楽器は深く、高級器は浅いのが一般的です。
極端に深くしたり浅くすると弾きにくいのは勿論ですが、深くし過ぎるとバルブのリフトが高くなりスイッチ部分やグリルカバーにバルブが当たったりします。
浅くしすぎるとバルブリフト量が減るので音の出が悪くなります。

この楽器のバルブは木の色が濃いので密度のある硬い木の様に見えますが、全く逆です。
色が濃いのは薄くニスが塗ってある為です。
この部分はできるだけ軽くしたいので、軽い木やアルミニウムが使われます。
軽くしたい理由は、鍵盤の戻りが少しでも速くなる様にする為です。
鍵盤はバネの力で元に戻りますが、バネは必要以上に重くできませんので、離鍵後に素早く元に戻すには、バネ下加重を軽くする事と、軸周りに重心を持ってくる事です。
バルブの位置は軸の中心から遠いので重さの影響が大きいです。
ですので、バルブはできるだけ軽く作りたいという事です。
同じ理由で、鍵盤式よりもボタン式の方がレスポンスが良いので、キレがある演奏がしやすくなります。
鍵盤は長くて重い構造になりますので。

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