中国製アコーディオン22016/01/29

先日、新品の中国製のアコーディオンの修理について書きましたが..

再び、新品の中国製アコーディオンです。



ミニ17鍵盤、8ベースの超小型アコーディオンです。
箱にある写真の通り、子供向けの玩具的な物です。
買ったのは私です..
ネットで5000円でした。
プレゼント用にと、気遣いのない価格という事で購入しました。

他にも類似の物でセルロイド外装の物もありましたが
子供が使う物なので安全性を重視して樹脂ケースの物にしました。
安いおもちゃで、ちょっとしたプレゼント用という目的ですが、
やはりこのまま渡すには気が引ける製品です。
安いので粗悪品という訳ではなくて仕様でしょう。



早速、試奏してみると、鍵盤が戻らず音が出たままに..
この時点で玩具としても不良品ですね。
鍵盤の操作は普通ですがベースボタンは子供が使うには
重すぎるバネ設定です。

その他、異様に空気漏れをする事、音にノイズが混ざる、
発音が悪いなど幾つかの問題があり、楽器として使うには無理な物です。
やはりこの金額では限界でしょう。



中を開けてみました。
右手側のリードです。
木枠ではなくて樹脂枠にロウ留めされたリードは真鍮です。
ノイズの原因はリードバルブの変形によるものでした。
かなり酷い箇所もあります。



ベースのリードです。
蛇腹の左手側は接着されていて分離不能です。
なので蛇腹を付けたまま上から撮影しています。

リードは平面状に12個並べてあります。
楽器が小さい為、一般のアコーディオンのように
両手側共にリードを立てて配置すると蛇腹を閉じた時に
ぶつかってしまうのでこのような配置なのでしょう。



ネジ留めされているベース側の樹脂枠を外してみました。
やはりこちらもリードバルブが波打ってます。



ベースリードの枠を外した状態のベース側の本体です。
空気の出入りする穴と間に入っているスポンジのパッキンの穴が
ずれていて有効面積が減っています。
また、スポンジ状のパッキンは硬いので
きちんと空気を止めていないと思います。



ベースリードの拡大です。
リードバルブが短すぎて先端の穴が出ている箇所があります。
リード自体が短くて(穴が長い?)無駄な空気の消費と
発音レスポンスの悪さを招いています。



右手のリードも同じようにリードバルブが短くて穴を覆いきれていない箇所や
リードの先端に隙間がある箇所があります。



蛇腹と本体の合わせ目に入っているパッキンですが、
ゴムというより柔軟性のある樹脂という感じで
硬くてシール性が非常に乏しい感じです。
空気漏れが多いことの一因になっていると思われます。



右手の鍵盤が戻らない箇所のバルブです。
開いたままになっていて音が出ています。
バルブ材は発泡ゴムのような物です。
鍵盤が戻らない原因はシーソーのようになっている軸部分の
加工精度が悪い為のようです。



グリルカバーのネットは医療用のガーゼみたいな感じです。



右手のバルブが隣のバルブと干渉している箇所もありました。
鍵盤の操作をするとバルブ同士がぶつかっています。
他にも、バルブがずれていて僅かに空気漏れしている箇所もありました。



ベース側を分解しました。
シンプルな4ベース、4和音構成です。
和音は1,5度の2音なのでメジャーにもマイナーにも対応しています。



ベースのカバーにあるネットはかなり適当に貼ってあります。
大きな皺があったり、接着剤の付いていない箇所があったり..



空気ボタンのバルブの台座を留めているネジは完全に入っていません。



拡大するとネジの頭と台座に隙間があるのが分かります。



ネジの反対側は本体の内側に貫通していました。
暫く眺めてネジが完全に入っていない理由が分かりました。
ネジが長過ぎて樹脂のリード枠の下部に当ってそれ以上進まないからです。
写真はリード枠を外したところですが、リード枠の留めネジの受けの高さしか
空間はありませんのでネジがリード枠の底に当ってしまいます。
それ以上進まないのでネジが不完全なところで止まっているという訳です。



ベースリードの下にあるパッキンですが、
一旦剥がして位置を合わせてみましたが、
元々ピッチがずれていて完全には一致しませんでした。



硬くてシール性が悪そうなのでこれは剥がして別の方法でシールする事に。
なので剥がしてしまいました。
接着箇所が部分的で適当ですね..

と、色々な問題がある楽器ですが価格を考えると仕方ないところです。
この中国製おもちゃアコーディオンをなんとか使える楽器に直す、
というか改造してプレゼントとして贈りたいと考えています。



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