あたたかいところ32010/03/09

以前にウチの猫が暖かい所を探し当てて居座るという話を書きました。
http://accordion.asablo.jp/blog/2010/01/20/
http://accordion.asablo.jp/blog/2010/02/15/4912585


それで、また新たな場所を探し出しました。
晩御飯の時に電子レンジを使って扉を開け、中の物を取り出すと..
いきなり扉の上に乗ったかと思ったら中へ入ってしまいました。
この時は中に残った食べ物の匂いに釣られたのかも知れません。

入ったら余熱で暖かい事に気づいたのでしょう。
そのまま居座ってしまいました..

ブジエ2010/03/10

ブジエとは、イタリアのカーニバルの時期(2月初旬~中旬)に食べるお菓子です。キアッキエーレと呼ばれる事もあるらしいです。
アンジェロ先生が今年もこのお菓子を手作りして持ってきてくれました。アンジェロ先生の出身はピエモンテ州ですが、ブジエはその地方でカーニバルの時期に食べるお菓子との事です。
今は3月でカーニバルの時期ではありませんが、2月はアンジェロさんがイタリアへ一時帰国していたので、今になって持ってきたという事です。なんて律儀なんだ..
昨年も同じ物を作って来てくれています。
http://accordion.asablo.jp/blog/2009/02/26/4436442


よく見ると、昨年の物と違って周囲がギザギザになっています。また、昨年の物は中が空洞でしたが、今年は中にジャムが入った物もあります。
聞いてみると、イタリアへ帰った時にラビオリなどを作る時に使う専用のカッターを買って来たとの事で、これを使うとギザギザに切れるという事です。また、単に切るだけではなく、2枚の生地の周囲を接着しながらカットできるという事で、その機能を持つイタリアの道具にアンジェロさんはちょっと自慢気でした。


先日、イタリアへ帰国した際には、他にもピザ生地やパスタ生地を延ばす為の丸い棒までわざわざ買ってきたとの事です。延ばす棒くらい日本と同じだと思うのですが、全然違う..と凄い拘りです。本当は手回しのパスタマシーンも買って来たかったらしいですが、4kgという重さで断念したそうです。
ブジエをカーニバルが終わってもわざわざ作って来たのは、きっと余程、買って来た道具を使ってみたかったのでしょうね。ご馳走さまでした。

古い楽器の再生12010/03/10

中古で販売していた古い楽器をご購入して頂きました。
製造後、推定30年程は経っていると思われますが、
パオロソプラーニ製のHMML、ダブルチャンバーの高級品です。
楽器は引き取ったままの状態ですので、
これから再生してお客様にお渡しします。
一口に中古楽器と言っても、未整備の物から整備品まであり、
また、整備済みとされている物でもその内容には差があります。
楽器の年代によっても必要な作業が変わってきますが、
中古楽器の再生についてご理解頂く為に、
この楽器の再生作業を例に、簡単にご紹介して行こうと思います。


楽器の年代が30年程度の為、右手もベースもバルブのフェルトと皮を
交換する事にしました。とりあえず、右手の鍵盤を全て外してみると..
鍵盤の裏には凄い量の埃が入っていました。
楽器の再生は、まず清掃からです。
この部分は鍵盤を外さないと清掃できません。

写真では分かりにくいかと思いますが、本当に凄い埃です。
例えば、未整備の楽器であれば、こんな状態です。
安くてもオークションなどで未整備の古い楽器を買う時は、
それなりの覚悟が必要でしょう。


中古を購入する際のポイントは2つです。
10年以内の比較的新しい楽器を買う。
或いは古くても高級な物を買う。
それだけです。
10年以内の楽器であれば、簡単な整備で10年は使う事ができます。
20年以上の古い楽器は、それなりに費用がかかる整備が必要なので、
その費用をかけても十分に価値がある高級品を狙う事です。

古い楽器の再生22010/03/11

昨日、ご紹介した古い楽器の再生作業に入りました。
まずは右手の鍵盤のバルブ交換からです。
鍵盤のバルブというのは、鍵盤の先に伸びるアームの先に付いている物で、
鍵盤の操作に伴い上下してリードへ通じる穴の開閉をする部分です。
この部分には、フェルトと皮が使われており、定期的な交換が必要な部分です。


フェルトと皮は経年劣化により硬化して行きます。
その結果、初期には鍵盤を放した後の音が大きくなってきます。
酷くなるとパチパチという高い音になります。新品の頃にはポクポクという感じ。
店で新品の楽器を音を出さずに操作すれば自分の楽器と比較できます。


離鍵時の音が次第に大きくなり、その内に空気漏れが酷くなります。
空気漏れは、何も鍵盤やボタンを押さずに蛇腹を開閉させた場合に、
蛇腹が動かせる状態です。
新品の楽器でもある程度の空気漏れがありますし、異常に強い力でやれば
どんな楽器も空気漏れをしますので、異常かどうかの
判断は経験者に試してもらうしかありません。
この時、スイッチは左右ともマスターにしておく必要があります。
空気漏れが酷い場合、音が出てしまう場合があります。
また、新品の楽器でも調整が悪い楽器は空気漏れがあります。
空気漏れの原因は多岐に渡るので一概にバルブが原因と言えない場合もあります。
バルブが不良の場合は、蛇腹の押しでより強く漏れるので判断基準になります。


バルブが劣化した場合、フェルトや皮の収縮により、
鍵盤の高さが不揃いになります。また、鍵盤のストロークが深くなります。
バルブの交換時期は概ね20~30年です。
ですので、バルブ交換をしていない20年以上の中古楽器は、
どんなに見た目が綺麗で音が良くても、近い将来にバルブ交換の必要が出ます。
空気漏れも、パチパチノイズも、鍵盤高さ不揃いなどが気にならない人は
いつまででも満足して使えるという考え方もありますが..


これは、再生中の楽器の右手のバルブを全部外したところです。
41鍵でチャンバー付きですので、全部で82個のバルブがあります。
この後、バルブ本体から古いフェルトと皮を取り除き、新しい物を貼り付けます。
場合によってはバルブ本体も新品にします。
その後、鍵盤一つずつの高さと深さを調整しながら組み付けますが、
この時、バルブの位置を調整し、空気漏れが無い様にします。
チャンバー付きの楽器の場合、一つの鍵盤に2つのバルブが付くので
この調整は非常に困難を伴います。
チャンバーの付いた楽器が高いのは材料費ではなく、調整費が高いのです。


いい加減な修理方法として、バルブを交換せずに鍵盤のバネを強くして
空気漏れを減らすという事もできます。
それでは鍵盤が重くなり演奏しづらくなりますし、ノイズは消えません。
私は、鍵盤のバネの重さも均一になるように測定して調整する様にしています。

セラミックナイフ2010/03/12

楽器の修理で料理用のナイフを使う場面があるのですが、
ステンレスの物はどうも切れ味が悪く、磨いでもすぐに悪くなります。
まあ、使い道が食材ではない物を切るのだから当たり前ですが..

そこで、セラミックのナイフを買ってきましたが、これは素晴らしい。
切れ味抜群で、切り口も美しい。

ところで、私が2年前までいた会社はセラミック製品の会社でした。
セラミックと言っても、茶碗とか湯のみとかそういうのではなくて、
いわゆるファインセラミックスというやつです。
なので、このナイフを見たらそれがどういうセラミックなのか
すぐに分かります。ちなみにナイフのメーカーは京セラ製で、
私のいた会社のライバル企業です。
ナイフに使っているのはジルコニアという物で、セラミックの中では
比較的、割れにくい性質のある物です。
私もセンサー素子の研究をしている時に基板材料として
調合から焼成までした事があります。
原料粉末を微粉砕する粉砕機の部品にも使われていたので、
懐かしい輝きです。

セラミック製品は加工が大変なので、焼く前にできるだけ製品に近い
形状にしておく事がコストダウンのポイントですが、
このナイフを見て、どういう成型方法で作ったのか..とか、
セラミック表面の京セラのロゴはどうやって入れたのか..とか、
つい、色々と考えてしまいます。