高温注意2021/06/30

使わなくなった(使えない)楽器を引き取りました。

50年程度以前のイタリア製の楽器です。
見た目は綺麗でビンテージならではの趣きのあるデザインです。
ですが、この楽器には大きな問題があって使えない状態です。


楽器内部のリードです。
高温でリードを留めているロウが溶けてリードが取れてしまっています。
新しい楽器を購入してあまり使わなくなったので屋外の物置に置いていたそうです。
ロウが溶けるような温度環境(60℃以上)に晒されるとこのようになってしまいます。
この季節の直射日光が当たる車の中などは危険ですので
車内放置しないようにしましょう。

このような状態になってしまうと修理費用がとても高額になりますので
余程高級な楽器でなければ廃棄となってしまいます。
この楽器も部品取りにするか..と思っていましたが、
その他の機構に問題がなく、古いわりにはリードも良い状態で
外観も良いので再生する事にしました。


という訳で、リードを全て取り外しました。
古いロウをきれいに取り除いて、リードの清掃、調整を行います。


木枠の方も古いロウを取り除きます。
奥の2つはロウを除去した後で、手前の物はまだ古いロウが残っています。


新しいロウでリードを戻しました。
50年以上経過した楽器ではロウの劣化が進んでいるので
結局、中古として販売する為にはロウ留めを改める必要があります。
ですが、その作業はとても時間と手間が掛かりますので、
安く売られている古い楽器では古いロウのままという事が殆どです。
この楽器はロウを改めましたので40年以上は大丈夫です。
調律を行い、劣化部品の交換を行ってきちんと使える物になります。


そして、レストア完了です。
ビンテージですが安心して使える物になっています。


レトロなデザインですが蛇腹の中は鮮やかな黄色なので明るい印象もあります。


この楽器、他にも特徴があります。
41鍵盤、120ベースの楽器ですが、全体として小さく、軽くできています。
鍵盤幅は標準より僅かに細い19mmです。
一般的な細い鍵盤は18mmですがそれよりは標準に近いので違和感が少ないです。

上の画像を見ると分かりますが、楽器の高さも低くなっています。
左側は34鍵盤の小型楽器で、右側は37鍵盤の中型です。
横幅は37鍵盤に近いですが高さは低くなっています。
ボディーが薄く作ってあるので鍵盤の長さは犠牲にしていません。

そして重さは34鍵盤の楽器に近い、8.8kgです。
操作性と音域を犠牲にせずに小型軽量になっている扱いやすい楽器です。
この楽器の情報は下記サイトでも見られます。

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